内容証明郵便とは、郵便局が謄本を用意して、相手側に郵便物を送達した事実とその郵便物の内容を証明してくれる郵便です。
内容証明郵便は、法的紛争もしくは紛争予防のための証拠とすることを意図されることが多いため、郵便局が相手側に郵便物を受け取った事実と受け取った日付など、相手側に内容証明が到達した事実を証明するために配達証明扱いとすることが一般的です。
ただし、宛先の人物も届いた内容証明郵便を証拠として利用する事ができますので、内容に気をつける必要があり、くれぐれも嘘を書いたり、脅迫を行ったりしてはいけません。
こういった事から、内容証明の文面によっては、慰謝料の請求ができなくなる可能性もありますので、注意して作成しましょう。
内容証明郵便に記載した内容には法的強制力が発生し、内容証明に書いた事は絶対に履行しなければならない、また受け取った人物も書かれた内容を履行しなければならないという誤解を抱いている方もいらっしゃいますが、実際には内容証明郵便は文書内容などが証拠として利用できるだけであり、法的強制力はありません。
相手に心理的プレッシャーを与える為に内容証明郵便の文末には「法的措置をとらさせて頂きます」といった内容の文章がつけられる事が多いですが、これはあくまでも必ず訴訟提起をしなければならないというわけではありません。
とはいっても、内容証明郵便を受け取るような経験はそう頻繁にあるものではないので、受け取る方にしてみればかなりのプレッシャーを感じるでしょう。
夫婦生活にかかわる問題で内容証明郵便が有効なケースには下に挙げたようなものが考えられます。
内容証明郵便の作成の仕方は内国郵便約款の規定により字数や行数、形式が決まっています。
どのような決まりがあるか簡単に手順を追ってご説明します。
文房具店や裁判所内の売店等で、内容証明用の原稿用紙も市販されていますが、用紙の種類や大きさに制限はなく、A4判の用紙が一般的に使われていますが、どのような用紙を使って書いても自由です。
どのような封筒でも自由です。郵便局で文章の形式が正しいか確認しますので、郵便局へ持っていく時点までは、まだ封をしないで下さい。
筆記具は自由ですが、手書きの場合はインクの出る筆記具(ボールペンなど)を用いるのが通常です。
ワープロ、パソコン等で作成しても構いません。
縦書き、横書きどちらでもOKです。
縦書きの場合 | 1行 20字以内、26行以内 |
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横書きの場合 | 1行 13字以内、40行以内 若しくは 26字以内、20行以内 |
用紙一枚につき、520字までとされています。
これは表裏合わせての字数ですので、用紙の表に520字書いた場合、裏には一字も書いてはいけません。
内容証明では半角も1字として計算します。
句読点も記号も、1個1字として計算します。
かっこの場合は対応する一対のかっこを合わせて1字とします。
枚数は自由ですが、複数の枚数になる場合は糊やホッチキスなどで綴り、そのつなぎ目に契印します。署名と同じ印鑑を使用して下さい。
文字の使用は、かな文字(ひらがな、カタカナ)、漢字、数字(算用数字・漢数字)、句読点、かっこ、記号(単位など一般的なものに限られる)に限られます。
記号は「パーセント」「キログラム」など、カタカタで書くのが確実でしょう。
但し固有名称(氏名、会社名)については英字の使用が可能です。
同文の手紙が3通必要です。
相手方に送付される | 1通 |
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郵便局に保管される | 1通 |
自分の保管用 | 1通 |
内容が同一であれば作成方法は自由ですので、一通を作成後、それをコピーしてもいいですし、三枚とも手書きしてもかまいません。
手書きの場合はコピーかカーボン紙で複写される方が多いようです。
「通知書」「請求書」などの表題は書いても書かなくても自由ですが、一般的には表題をつけた内容証明郵便が多いようです。
時候の挨拶や結び文等も自由ですが、省略してもかまいません。
長々と書くと、自分の不利益になるような文言が入る恐れもありますので、できるだけ必要な点だけを簡潔に書く事を心がけましょう。
書き忘れや金額等の間違いがないように、念入りにチェックしましょう。
字句を訂正する場合は、まず、訂正する個所を二本線で消します。
尚、訂正前の字句がわからなければならないので、塗りつぶすことはできません。
そして、訂正後の字句を書き、「○字削除」「○字加入」などのように、どこを何字訂正したのかがわかるように欄外または末尾余白に記して、押印します。
末尾余白に記入する場合は、指定箇所を『何行目』というように指定する必要があります。
手紙と封筒には受取人、差出人の住所・氏名を記入します。
通常は手紙文の末尾余白に記入しますが、手紙の文中でも最初でも構いません。
手紙と封筒に記入した受取人、差出人の住所・氏名は同一のものとします。
通常、差出人の名前の下に印鑑を押しますが、法律上の決まりはありません。
しかし差出意思の真実性を高める為、押印、署名は重要です。
手紙以外の資料等を同封することは認められません。
内容証明郵便ではあくまでも手紙の内容のみが証明されるために、それ以外の内容物を同封することが認められないのです。
借用書のコピーや写真などの資料も相手方へ送付したい時は、内容証明郵便とは別に送る事となります。
内容証明郵便は電子内容証明郵便を除き、郵便局の窓口で差し出さなければなりません。
集配局と地方郵便局長が指定した郵便局の取り扱いとなりますが、大きな郵便局ではたいてい取り扱っています。
事前に、郵便局に電話などして確認しましょう。
内容証明郵便を配達証明つきで送りたい旨を告げて、3通の内容証明と封筒を提出します。
内容を確認してもらい、費用を支払って、局員の前で封をします。
郵便局から内容証明の控え1通と「書留・配達記録郵便物受領書」を受け取ります。
内容証明郵便には一般書留の特殊取扱も必ずつけなければなりません。
その他に同時につける事が可能な扱いは速達、配達日指定郵便、引受時刻証明、配達証明です。
配達証明は必ずつけましょう。
通常、郵便局に内容証明郵便を依頼しただけでは配達証明は付きません。
配達証明は自ら窓口に申し出て下さい。
内容証明料金 | 420円 1枚の場合 (1枚増えるごとに+250円) |
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書留料金 | 420円 |
通常郵便料金 | 80円 定形郵便25gまで(50gまでは90円) |
配達証明料金(任意) | 300円 差出の際(差出後でも1年以内であれば可能:420円) |
1枚の内容証明を定形郵便で、配達証明を付けて送付した場合は上記の合計で1,220円になります。
速達にしますと別途270円(250gまで)が加算されます。
※料金は変わる事がありますので窓口で確認して下さい。
配達証明付きの内容証明郵便が相手方に届くと数日中に「郵便配達証明書」というハガキが送付されます。
この郵便物配達証明書も大切に保管して下さい。
インターネット上で内容証明郵便を送るサービスもあります。
パソコンで内容証明を希望する文書を作成し、インターネットで新東京郵便局に送信すれば、郵便局の方で内容証明の処理をやってくれるというものです。
用紙や封筒も郵便局が用意してくれるうえ、3通分の手紙の印刷、封筒の印刷、封入、発送とすべてやってくれるのです。
これにより、自分で同文の手紙を3通作成する必要も、差出人・受取人を書いた封筒を用意する必要もありません。
ホームページ上から24時間いつでも送る事が可能です。
他に特徴としては、文字数の制限が緩和されており、現行の内容証明の規定による文字数で約3枚分の文書が、電子内容証明では1枚分で記載できます。
また、内容証明に必要な手紙の3通のうち差出人が証拠の謄本として保管すべき1通は、郵便局から差出人宛てに送られてきます(謄本送付料金が別途必要になります)。